名古屋

珍しく、旅行に行ってきました。先月誕生日を迎えた、名古屋に住む後輩に会いに。

朝7時半に起きる予定のところ8時頃起きてダッシュで支度をし、東京駅へ。

事前に予約していた新幹線のチケットを引き取り、10時発11時40分くらい着。

早い。

東京名古屋間早い。

技術革新すごい。

 

道中、ホームの喫煙所を探して真逆に歩いてしまったり、通路側の席に座ったおばちゃんがアイマスクを着けてガチ寝し始めたおかげでトイレにも喫煙所にも行けなかったりとちょっとしたアクシデントはありましたが、それもこれも東京駅内の売店で購入したR-1のおかげで何とかなりました。

R-1すごい。心なしか花粉症も少し楽になっている気がする。

 

名古屋駅に着いた僕は、ホテルにさっさと荷物を預けると名古屋市科学館へ。

待ち合わせの時間まで1時間以上あったので、先にチケットを購入し、どこか適当なカフェに入る事にしました。

 

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長靴と猫

1軒目「長靴と猫」

比較的ファンシーな内装で、BGMも某夢の国仕様。

広めの大テーブルに、若干幼稚園味を感じる。

カウンター後ろの棚に色とりどりのカップが並んでいるのが非常に可愛らしい。

お昼時で多少他の人の話声は大きく聞こえたけど、ガヤガヤしている方が居心地がいい場所もある。

そんな感じ。

アイスティー頼んだら「香り付けで」とブランデーの小瓶が出てきてちょっとびっくりした。

しかしすぐ後悔。

名古屋、寒い。身体が冷えてしまった。

 

30分もしない内に待ち合わせの時間が迫ってきたことに気がついたので、早々に切り上げて待ち合わせ場所になっていた商業施設前へ。

いや、本当は一度中に入って喫煙所で一服しました。

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喫煙マップ

名古屋は東京と違って、路上喫煙OKな場所があるんですね。

今度から携帯灰皿を持って行く事にします。

 

後輩と合流し、そのまましゃぶしゃぶ。

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なべ


(鍋が若干遠い)

昼から食べるしゃぶしゃぶ、幸福度がヤバい。

そもそも豚肉が大好きな上に、ご飯お代わり可+フリー漬け物コーナーがあって完全にキマった。

暖かいお茶が、沁みる。

元々ご飯を食べるのは早い方だったので、最近ゆっくり食べるように心がけていたのだけれど、後輩の方が先に食べ終わってしまった。バップ。すまん。しかし美味しかった。

会計してもらったレジのおじさんに、「お腹いっぱいになりましたか」と聞かれてお腹だけでなく胸までいっぱいになってしまった。

 

そのまま名古屋市科学館へ。

特設展示場のからだのしくみコーナーヤバい。

身体の中身が透けて見えるコーナー(心電図みたいなもん)に中々な列が出来ていて面白かった。

 

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ヘパくん

もっとヘパくんの生活を大事にして生きていこうと思った。

「我々のヘパくん、多分年中働きっぱなしだと思うんですよね。」

分かる。

 

通常展示コーナーもいい。

何がいいって、その場にいる人々が可愛い。

はしゃいでいる子(我々も含む)、ちょっと斜に構えるおませさん、遊び疲れて休憩所で寝落ちているカップル、筋肉隆々の外国人。全てが愛おしい。

「原さん、めちゃくちゃかっこいい人がいますよ、USAいますよ、USA」

マッチョが全員USAなのかと問われれば微妙なところだが、この科学館のキャパにそぐわないのは確かだ。

 

歯車コーナーにて「技術革新ヤバい」を連呼。

10年前くらいにこういったものは一通り見たはずなのに、やっぱり楽しい。

 

プラネタリウム。就寝。

気がつけば二人とも寝落ちていた。

5年くらい前に当時付き合っていた彼女と行った時も寝たな。

「質の高い睡眠を取ってしまいました。」

めちゃくちゃスッキリした。

 

後輩が春仕様の装いだったため、この日の気温に合わせて服を追加購入しようと古着屋を巡るも見つからず。

カフェに行く。

 

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2軒目「コンパル」

同性の同級生が昔いたなと思いつつ、頼んだものはホットココアとミックスジュース。

コーヒーを頼めよ。

 

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この「ソーダ」、何ソーダなんだろうか…。

 

昼ご飯を取ったのが遅く、まだ飲むにも早いなとなりゲームセンターへ。中学生か。

グルーブコースター楽しかった。

 

後輩は頭文字Dをやりたがっていたが、最初は地元のザ・ヤンキーが4席埋めていたし、その後はおじさん2人組が何故か中央席二つに陣取っていたため断念。残念。

 

時間もいい感じになってきたので、夕飯もといお酒を飲みに風来坊へ。

豚、牛は食べたので鶏行こう、鶏。

既に大分寒い。

 

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あらかた注文した後で「魚ありますよ、刺身、刺身」などとのたまう後輩を、頼んだ分来てからにしようとたしなめる。

案の定埋まるテーブルに、魚を食す余力は残っていない。

こいつ、こっちが飲んだり食べたりするペースを探ってやがるなと思いつつ、お酒を飲む。

営業をやっているときっと色々気になるんだろう。

僕はここまで来ると最早あまり気にしない。

あえて向こうよりもさっさとグラスを空けるなどしてみたら、その次のグラスのペースに合わせてきたのでこれはもうこういう性なんだなと諦める。

 

一日目の夜が終わった。

いい一日だった。

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夜のお供

二日目が始まった。

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3軒目「THE CUPS」

 

泊まったホテルの近くに何となく良さそうなカフェがあったので、仕事をしに行ってみる。

喫煙出来るスペースがないため2時間ほどで出てしまったが、コーヒーが美味しく非常に良かった。

モーニングの量がちょうどいい。

そのまま喫煙出来るカフェを求めて名古屋駅の近くへ。

 

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4軒目「DUBLIN ROOM CAFE」

BGM含めて雰囲気が非常に良かった。

駅から少し遠いのが少しネック。

本を読むなどした。

 

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トイレの注意書きがかわいい

金山へと移動した後カラオケを挟みつつ、秋葉原ディアステージ名古屋店へ。

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約半年ぶりに来たけれどこの日は非常にまったりで、久々に会った友達二人とキャストを交えてくだらない話をして過ごした。

非常に楽しかった。

 

二日間があっという間に感じるほど楽しかった。

名古屋には今回会えなかった知り合いもちらほらいるのでまた行こうかな。

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交差

我々は日々、スマートフォンを開いて様々な情報を目にする。

SNS、匿名掲示板、まとめサイト、ニュースサイト、etc...

多様なWebメディアを通して、人々の日常から社会的時事ネタまでその内容は多岐に渡っている。

おそらく文化もそうだ。暗黙の了解と置き換えてもいい。

例えば我々アイドルオタク達がTwitterを利用するにあたって、一部のユーザー間でこんな暗黙の了解があったりする。

「推しメンへのリプライには『いいね』をつけてはいけない。」

「フォローは一言添えてから。」

是非はともかく、それらはTwitterと言うSNSに設定されたルールではなく、ごく一部の界隈に何となく浸透した、あくまでマナーと呼ぶ範疇のものになるだろう。

 

ところで昔こんなことがあった。

場面は深夜1時の高田馬場、今は無い、僕の勤めていたバーでの話だ。

その日は客足も思ったように奮わず、僕は暇な一日を店内で過ごしていた。

たまにカクテルレシピを調べ、練習をして少し味見するのを繰り返す、そんな日だった。

営業時間は2時まで、今日はそろそろ店じまいかしら、と思っていたところに来客があった。

 

学生の団体が、3、4、5、6…7人?

こんな時間に大所帯だなと思っていたが、その内3人くらいは何度か店に来ている、常連の子達だった。

「どうしたのこんな人数で、珍しいね。」と話しかけると、いつも来ている男の子が酔っぱらった様子でカウンターに寄ってきた。

「違うんですよはらさ〜ん…。」

おや?

「居酒屋で飲んでたら隣のテーブルの奴らに絡まれたんですよ〜〜。」

おやおや?

「もしかして…」

「そうです、あいつらですよ〜〜。」

残りの4人の男女は確かに、見た事が無い子達だった。

聞いてみると、どうやら大学も違うらしい。

お酒を飲んでいたら楽しくなって、隣の卓で騒ぐ大学生達に絡んでしまったそうだ。

女の子二人が非常に申し訳なさそうにしている。

別に良い、お客さんはいないよりも、いた方がいい。

 

さっさとオーダーを取り、7人分の飲み物を用意する。

何となくほんわかした空気で始まったと思いきや、どうも様子がおかしい。

絡んできたグループの男の子の片方が、常連の男の子に絡みだした。

一触即発、対応を間違えた瞬間に喧嘩になってしまいそうだ。

そこで常連の男の子が提案をした。

「わかった、そしたらもう、一緒に乾杯をしよう。」

一緒にお酒を飲み交わせば俺たちは仲間だ、と想いを込めての行動に、少しだけ感動した。

何だお前、ちょっと大人じゃないか。

「はらさん、ロンリコ3つください。」

3つ?

「はらさんの分もです。一緒に乾杯しましょう。」

アルコール度数75%を誇るラムを一緒に飲ませてくれるなんて…何ていらん気遣いなんだ。

しかし酔っぱらった後輩の気遣いを無下にするわけにもいかず、琥珀色の液体を注いだショットグラスを3つ、テーブルに運ぶ。

「それじゃ我々の出会いに、乾杯。」

常連の男の子の合図と共に、我々2人はグラスの中身を飲み干した。

しかし招かれた(招かれざる?)客人たる彼は、掲げたグラスを口にあてることなくテーブルに置いた。

「俺は、飲まねえ。」

何やと。そうか、彼の心遣いを、君は受け取らないって言うんだな。

「そうか、じゃあ俺が飲むよ。」と一言かけて、僕は彼のグラスを手に取り、同じように飲み干した。

それからが大変だった。

常連の男の子は一切喧嘩を売るような真似はしていないのに、気付くと彼らはお互いの胸ぐらを掴み合っていた。

テーブルの上のグラスをカウンターに避難させる。

連れ立っていた女の子達が、彼らを引き離す。

常連の子もたまらず「はらさん、俺ここで喧嘩してもいいですか。」などと酔った勢いで吐き捨てている。

ダメだ、それは困る。表でやってくれ。と言うかお前、喧嘩とかしたことないだろ。

「君たちさ、もうお代とかいいから今日は帰ってもらってもいいかな?今日はうちの子も悪かったからさ。」と新規の4人組に声を掛けると、彼らは荷物をそそくさとまとめて出ていった。

やっと終わった…と安心したのも束の間、それまで血気盛んな男の子をたしなめていた女の子が突然出る間際に僕に一言、「早稲田って本当にしょうもないんですね。」と捨て台詞を吐いて出ていった。

僕は悲しくなりつつも、そのまま店の片付けをし、もう既に酩酊しかけている男の子にお水を出す。

「はらさん俺はさあ、何であんな…俺の酒も飲めないやつと…。」

カウンターに突っ伏すのはいいけれど、灰皿に唾を吐くのはやめた方がいいぞって、ああ…。

彼の顔面は、自身の吹きかけた息によって舞い上がった灰で真っ黒になっていた。

「取りあえず、トイレでそれ綺麗にしてきなよ。」

その日は、閉店時間を過ぎるまで、何となく常連の子達とまったり過ごして終わった。

 

彼は、彼なりに精一杯の気遣いで、絡んできた子達を受け入れようとしていただけなのだ。

自分たちの精神に乗っ取って、彼らを仲間に引き入れようと、せめて手打ちにしようと努力した。

それを受け入れられなかったことが悲しかったのだなと思う。

早稲田はしょうもない、それでいいのだ。

俺たちはそれまで何があっても、一緒に楽しくお酒が飲めればそれでいい。

だからだろうか、最後の一言に僕も少し悲しくなってしまった。

 

溢れ返った情報の中で、それを取捨選択していくことは確かに大切だ。

しかし、新しい世界に飛び込みたいと少しでも思うのであれば、そこに既に浸透している暗黙のルールを一度受け入れてみることも、時には必要なのかもしれない。

少なくとも僕は、それを大切にしていきたいと思う。

水泡に帰す

言葉が浮かばない。

 

元々このブログを書くと決めた時に書きたいと思ったテーマが10個くらいあって、そこに日々気になったことや、何かのきっかけで思い出した昔話を織り交ぜながらそれらを放出していた。

全くもって、書きたい内容を消化しきったわけでも、何もない退屈な日々を過ごし続けているわけでもない。

ただ、言葉が浮かばない。

 

人と話す時に、話の中に浮かんだ物事を別の言葉や表現で置き換えることや、それをする人がとても好きなのだけれど、それすらさっぱり浮かばなくなってしまった。

今はただ、勢いや流れに、考えもせず単語を乗せているだけ。

 

自分の中にある思考の渦に、潜ることが出来ない。

入り口を見つけても、水面の浅いところに顔をほんの少し浸して、それを眺めることしか出来ない。

潜ろうと試みても、底から立ち上る大量の泡に飲み込まれて、押し戻されてしまう。

 

焦りや不安はない。

今まで通りお笑いや、映画や、本などを取り込み続けていれば、元に戻るだろうと思う。

しばらく、ほんの少しだけ、お休みの時間は続きそうだ。

言葉

自分のことを、かなり後ろ向きな性格だと思う。

何にしても基本的に悪い方向にまず考えた上でしか向き合うことが出来ないからだ。

利益よりもリスクを気にするし、最悪の展開をまず考えてからでないと落ち着かない。

そんなに器用な人間でないので、それでも失敗だらけなんだけど。

口にはあまり出さない。場の空気が悪くなるから。

悶々と溜め込むことで、また少しずつ気持ちが落ち込んでいく。

 

そんな中で、僕に向けてこんな言葉を吐いた女の子がいた。

「はらくんって頭ハッピー野郎だよね。」

そうだろうか、と浮かぶ疑問と共に、少しだけくすぐったい感じがしたのは本当だ。

何故かちょっぴり嬉しかった。

 

 

ある日の僕は、気の強そうな女性と話していた。

テーマは、「致命的なドジッ子」についてだ。

「致命的なドジッ子」は、思ってもみないタイミングで致命的なミスをやらかす。

でも、と彼女は言った。

「そういう人って、何だか愛せません?」

「それは、『愛せる』と言うことによって、相手を受容しているだけなのでは。」

口に出しながら、自分で納得してしまった。

なるほどな。

 

またある日、僕はシンクに溜め込んだお酢の中に、大量のりんごを投入して洗っていた。

これが1時間もすれば、全てジュースになる。そういう仕事をしていた。

僕は野菜や果物を洗いながら、全国の農家を回ってお酒を飲むのが趣味、と言う年上の男の子と話をしていた。

お互い、別々の組織に所属し後輩の面倒を見つつ、そこで働いていた。

「何かもう、失敗しちゃうのって仕方ないと思うんですよね。」

テーマは後輩の話。切り出したのは僕。

「分かる、最悪こっちが何とかすればいいもんね。」

彼は非常に優しい人だった。優しすぎて、付き合った女性に尽く浮気をされてしまうのが悩みだったらしい。

「『まあ、しょうがないか』って思えば落ち着くし、怒っても仕方ないですからね。」

僕らはジュースを作り終えて、地下にある野菜室に少し足りなかった分の野菜を取りに降りた。

そこで上から店長の声が降ってきた。

「ちょっとー!!」

「はーい!?」

「これレモン入れたー!?」

「あっ」

ジュースに防腐剤代わりにレモンの果汁を入れるのはもう一方の彼の仕事で、そして彼はいつもそれを入れ忘れてしまうのだった。

「す、すみませーん!!!!」

「あんたもうこれいい加減にしてよー!!」

店長が怒っている。きっと新婚にも関わらず家に帰るのがいつも遅いことも災いしているのだろう。

彼は、とぼとぼと階段を上がっていった。

その後ろ姿を見て、そっと「まあ、しょうがないか。」と呟いた。

 

 

僕はね、言霊ってあると思うんですよ。

例えば、好きでも嫌いでもないものを「嫌い」って言ってたら、本当に嫌いになってしまうこともあると思う。

そういう言葉って何故か周りに伝染しやすくて、最近何だか「本当に君自身がそれを嫌っているの?」と聞きたくなってしまうことが多い。

僕は割と怒る事が苦手なタイプなので、何か嫌な事があって怒っても、「これは一時的なものなんじゃないか」と思うと何だかもう一瞬で引っ込んでしまうんですよ、これが。

だってその怒りがきっかけで、嫌いでもないものをわざわざ嫌いになって、それを見る機会を減らして、それを楽しむチャンスを失っちゃったら勿体ないじゃないですか。

少なくとも、僕はそう思う。

 

このブログ、多分一度の更新につき大体50人くらいの人が見てくれてるんだろうと(多分)思うんだけど、その内5人くらいでいいから、明日から嫌なことがあっても「でも何だか、そういうところも愛せるよね」とか「しょうがないなあ笑」なんて言って、緩やかに切り抜けてくれたら、ほんの少しだけ世界が優しくなるのかもな、と思います。

それでもやっぱりどうにも出来なかったら、僕で良ければお酒でも飲みに行きましょう。

 

お誘いお待ちしております。

【導入】

 

2012年11月16日、夕方。

授業の終わりと共に、電話が鳴った。

突っ伏した机から顔を上げて携帯の画面を見ると、随分と懐かしい名前が表示されていた。

「はらさんお久しぶり〜、今日夜暇?」

「暇だけど…。」

寝起きでぼーっとしたまま答える。

「ヱヴァ観に行こうよ。」

「え。」

「明日、公開日だから。夜12時新宿ね〜ばいば〜い。」

電話が切れた。

ポツポツと、LINEに「迷う。」とだけ打ちこんで電話主に送信し、帰り支度を始めた。

そうか、明日はヱヴァQの公開初日だった。すっかり忘れていた。

 

【OP】

【Aパート】

 

電話を突然してきたイノウエと言う男は、僕の高校時代の友人であり、また僕が新世紀エヴァンゲリオンというアニメ作品にハマった元凶であった。

Skypeのチャットに打ち込まれた「とりあえず序観て、その後TV版続きから観ればいいから。」と言う言葉に、「何だ26話も観るの億劫だなと思っていたけれど、案外すぐ観終わりそうだな」と簡単に騙されてしまった僕は、結局その後TV版全話、旧劇場版、新劇場版を何度もループすると言う終わらない旅をする羽目になったし、熱中しすぎて高校時代の卒論はエヴァで書いた。

確か、「渚カヲルの正体について」とかそんなテーマで書いた気がする。

はっきり言って僕はその男の事が少し苦手だったのだけれど、しかしせっかく今日の夜は用事が無いし、明日も休みのはずだ。

行ってみるのも良いだろう。

 

家に着き、夕飯を済ませ、風呂に入った。

普段なら寝間着代わりのジャージに着替えるところを、また外行きのパーカーとジーンズに着替える。

いくつになっても、夜家を出るのは何だかワクワクする。

スニーカーを履いて「いってくる」と一言声をかけて家を出た。

 

駅に着くと、イノウエから「ごめん少し遅れる」とラインが入っていた。

ふむ。

僕らは11月17日0時からバルト9で行われる先行上映ではなく、その朝行われる本公開に行こうと言う話になっていた。

夜通し並んで、朝映画を観て、帰る。

これでも十分公開初日に観たと言えるだろう、ということになったのだ。

つまり、多少の遅れは問題ない。

「おけ」と一言返すと、また返信があった。

「今日うこん茶さんも来るからよろぴこ〜〜」

いや待て誰だそいつは。

僕はお前が着く前に、得体の知れない人物と待ち合わせをしなければならないのか。

そういうお前の身勝手なマイペースさが僕は苦手なんだ、と文句をつけてやろうと思ったところで気付いた。

あの子だ。

イノウエのバンド仲間の、いつもダッフルコートを着ていて、おかっぱ頭で、中性的で割とイケメンな、確か鍵盤ハーモニカを吹いている(弾いている?)、線の細い、彼だ。

話した事はないが、顔は分かる。何とかなるだろう。

またLINEが鳴った。

「お金払うからマックで夕飯3人分買ってきて〜」

うるせえ、カス!!!

 

【暗転】

 

3人分のセットが入ったマクドナルドの重たい袋を両手に抱える僕は、映画館の階段に一人で座るダッフルコートの男を発見した。あれだ。

「こんばんは。うこん茶さん?」

「はらくんだね、イノウエがごめんね。」

ニッコリ笑う彼は、やっぱり思った通りの彼だった。

かなり可愛い顔をしている、これはモテるんだろうな。

思えばキャンパスで見かけるといつも、後ろの方の席で女の子に囲まれている。

そう、多分、勘違いでなければ同じ学部に所属しているはずだ。

 

何となくぎこちない挨拶を済ませ、エヴァの話やイノウエの話に花を咲かせる。

そうして過ごしている内に、イノウエが到着した。

「二人とも仲良くなった?」

黙れクソ

「僕ここで待ってるから、二人ともトイレとか行ってきなよ、近くのお店で借りれるから。」

たまには気の利くやつだ、お言葉に甘えて二人でトイレに行く事にした。

時刻はまだ1時くらいだし、開演までは大分時間がある。

腰を上げるとイノウエがまた一言。

「ついでに何かあったかい飲み物が欲しいな。」

本当にお前と言うやつは。

うこん茶くんと二人、近くの飲食店でトイレを借りた後にコンビニに入る。

目指すは飲料コーナー、の前にふと目についたものがあった。

「ねえねえ、」

「ああ、これはいいね、"あったかい飲み物"だもんね。」

呼び止めてそれを見たうこん茶くんは、また可愛い顔でニコニコと笑っていた。

 

「…何で?」

コンビニから戻った僕ら3人は、それぞれの手にちっちゃいカップヌードルを握っていた。

「あったかいだろ。」

「あったかいけどさあ…。」

「文句があるなら俺が食う。」

「いやいいよ、これで。」

文句を言う割に、やけにニヤニヤしてるじゃないか、お前。

さっさとカップヌードルを食べた僕らは、片付けをイノウエに押し付けて、エヴァ談義へと入る。

直前に公開された映像も含めてだ。

 

「列の前の方に、"マジ"な人がいるぞ。」

「何だと、どれどれ」

「アレには敵わないなあ笑」

などと、周りの人の様子も伺いつつ、夜を過ごす。

 

その内、イノウエがうつらうつらとしてきた。

「列、まだ動かないし少し寝る。」

本能のままか、お前は。

うこん茶くんも、彼は彼で「何か遊べるものはないかな」と自分のカバンをゴソゴソしている。

僕はときたま、イノウエに「列が動くぞ」と嘘をついて起こす遊びをしていた。

ふと、うこん茶くんが「あ」と声を出した。

「どうしたの?」

「いや…。」

彼が、カバンの中から何かを取り出した。

「潰れたみかんが、あった。」

カバンの中に入ったものの圧力にほんの少しだけ負けて、座布団のようになったみかんが、彼の手の中にあった。

彼はまた、ニコニコと笑っている。

 

【CM】

【Bパート】

 

階段で夜を明かした僕たちは、公開1時間前の映画館の座席へ3人横並びで座った。

と思ったらその瞬間、すっと意識が座席に飲まれてしまった。

ドン、とスピーカーから流れる音によって目が覚める。

1時間ってあっという間なんだな。

 

少しだけ流れるコマーシャルを終えて、映画が、始まった。

 

 

映画本編が終わった瞬間、シンジたち3人が歩いていくシーンの後、「つづく」のテロップが画面に浮かんだ瞬間、僕はそれを聞いた。

僕も含めその場にいる全員が一斉に「えぇ?」と困惑の混じったため息をついていた。

前の方の座席に座った僕の身体はほんの少し、そのため息の圧に後ろから押されたような気がした。

座席から立った僕らの考えは、珍しく一切の議論の余地なしに一致していた。

「話をしよう。」

「これは話さねば。」

「今の時間、どこならあいてる?」

我々平成生まれのインターネット世代、google先生の力を借りてすぐに議論の場を決めた。

場所は高田馬場ミスタードーナツだ。

何の因果か僕ら3人は、通っている大学が座する地に、山手線に乗って帰ってきた。

早朝にも関わらず既に結構な数の人がいる。

カフェラテを3人分と、少しだけドーナツを載せたトレイを持って、4人席につく。

 

これまで僕たちにとってのエヴァンゲリオンは、過去、既に考察しつくされたコンテンツだった。

その中で自分の思惑にそった考察を選び、また考察を重ね、そしてまた映像を見る。その繰り返しだった。

しかしどうだ、このQは、完全に新しい「エヴァ」だった。

今までの、リメイク版「序」、一般大衆向けロボットアニメ版「破」とは異なる、僕らにとって完全に未知の「エヴァ」だった。

観客の予想を大いに裏切り、また置いてきぼりにし、新たな考察の余地を広げた。

これを話さずに、どうして僕らはエヴァを見てきたんだ。

 

と思った矢先、うこん茶くんが落ちた。

寝てしまった。

楽しい議論はこれからのはずなのに…。

いやしかし僕らの熱はもう止まらなかった。

イノウエと二人、映画館で購入したパンフレットを開きながら、あーでもないこーでもないと話し込む。

1時間ほど話し込んだ僕らの会合は、突如起動したうこん茶くんの「今日は学科説明会だった!」という一言によって幕を閉じた。

 

何となくまた3人で集まるような気はしていたが、その後3人が揃うことはなかった。

僕とうこん茶くんはこれがきっかけで一緒に授業を取るようになったし、また僕が、彼が店長を勤めるカフェに入店したことで2年ほど濃密な付き合いをするようになったのだが、イノウエはその後フランスに留学してキャベツ農家になり、そして他の何だか僕にとってはあまり名前を聞いた事の無い国を転々とし始めたため、物理的に会う事が出来なくなってしまったのだ。

 

 

このヱヴァンゲリヲン新劇場版Qと言う作品には、驚くほど批判的なコメントが多い。

しかし、確かに僕にとってはこれこそが、現代の「エヴァ」なのだ。

僕はこの映画が大好きだし、何よりシンエヴァの公開が待ち遠しい。

公開日が決まったら、誰か一緒に観に行こう。

 

【つづく】

「掘り当ててしまった。」

「何を?」

「昔のブログ」

「えっ」

 

 

10年ほど前に書いていたブログを、先日偶然、掘り当ててしまった。

何を思ったのか突然、当時利用していたウェブサイトの名前とIDで検索をかけたところ、見事にヒットしてしまったのだ。

読み返す。

 

………………。

非常におぞましい内容だった。

書いていた当時の僕は中学生〜高校生くらいの年齢で、非常に多感な時期だ。

そのブログは主に、

1.遊戯王

2.おすすめの楽曲

3.学力イキり

によって構成されていた。

順に説明していく(既に若干身体が痒くなってきた)。

 

1.遊戯王

僕は昔、遊戯王カードがとても好きだった。

どれくらい好きかと言えば、結構本気でデッキを組んで近くのカードショップで週末開催される大会に出場し、優勝したりしていた。

すごい。

いやすごくない。

何も誇れることではない。あくまで趣味だ。

それが転じて、ブログを書くネタに困った僕は(あるいは僕はこんなジャンルのデッキも組んじゃうんですよ〜という自己顕示欲によって)、組んだデッキの内容や解説をブログに載せたりしていた。

この記事によって、「僕のデッキを診断してください!」などというコメントが少しずつ付き始め、更にはショップで「大会上位の人を呼んでサークルを作っているんですが」などとスカウトをされ、僕の承認欲求は大いに満たされた。

いや人の輪広がっとるやないかい。

こうして文章で見ると鳥肌もさほど立たないのだが、その実「w」(所謂全角単芝)であったり、環境批判、もしくは大会に出た際のレポートでは「やっちまったw」などとイキり全開の文章を披露していて、非常に痛々しい。

 

2.おすすめの楽曲

中学生の頃、僕の聴く音楽は、ほとんどがサザンオールスターズKinKi Kids平井堅によって構成されていた。

これが高校生になると、アニソン、ボカロと手を伸ばし、最終的にバンド系の音楽を聴くようになる。

中学生の頃は趣味が合う相手が本当にいなかった。

サザンオールスターズは完全におっさんバンドだし、KinKi Kidsはどちらかと言えばお母さん世代、僕たちの世代でジャニーズと言えば多分嵐だった。

平井堅、論外である(悲しい)。

話せる相手は本当に限られるのだが、どうしても身近に趣味を共有出来る相手が欲しい、更に言えば自分の聴いている音楽の良さを皆に知ってほしいと思った僕は、何故か、「好きな楽曲のタイトルと、YouTube動画の埋め込み」のみによって構成されたブログを更新し始める。

Q.何故だ。

A.これがシュッとしてかっこいいと思っていたからだ。

そう、これをすれば皆聴いてくれるもんだと思っていた。

そんなわけ、あるか。

後述の学力イキり含め、イキり文章連発のブログ記事群の中に唐突に現れる、タイトルと動画のみのブログ。

最早怖い。

何を考えていたんだこいつは。

 

3.学力イキり

これが酷い。

本当に酷い。

特に中学3年生。

もう、イキりのテンプレートをことごとくこなしている。

受験期間近の「そろそろ本気出しちまおっかなw」に始まり、

受験終了後の「結果は出してきましたよwまた周りとの差が開いちまったかなw」で終わるこの一連の流れは、芸術とも呼べる出来映えである。

周りの人間を完全に馬鹿にした内容、大したことは無いのに何故か天狗が止まらない。

 

ちなみにこの男、第一志望の高校に落ちているのだ。

何でそこまでイキれるんだ。

しかも一回一回の内容が異様に短い。

雰囲気で言えば、

 

タイトル「そろそろ」

本文「本気出しちまおっかなw」

 

などとなっている。

もう本当に、この記事を発見した際は本気で死のうか悩んだ。

 

 

ここで気付く。

ブログを消せばいいのだ。

消してしまおう、こんなもの。

幸いにもパスワードは通った。

後は何か、多分どこかのメニューを開けば消すのは簡単なはずだ。

 

しかし消せなかった。

黒歴史」と言うくらいだ。

このまま取っておいて、有事の際は戒めのために読み返せるように、残しておこう。

 

 

と言うのも

僕は所謂「気持ち悪いアイドルオタク友達」が非常に好きだ。

前日に「推しメンのライブを見に名古屋おいでよ」と誘ったら当日新幹線に飛び乗るオタクだとか、推しメンへの愛故に飲み会中に泣き出すオタクだとか、もしくはマスターベーションに興じている最中に推しメンの顔が浮かんでしまい、結果的にEDになってしまうオタクだとか。

どれも、推しメンへの愛が大きすぎるが故に、結果的に気持ち悪くなってしまっただけなのだ。

更に言えばどのオタクも、その過去の話は総じて気持ち悪い。

今の動向以上に、恥ずかしいほどに気持ちが悪いのだ。

過去のブログではイキるし、友達がいないことが今となっては誇りであるし、それが何やかんやあって今アイドルオタクになっている。

 

何かコンテンツに対しての大きな愛を、発散する手法を誤ってしまうが故に、多大な「気持ちの悪い黒歴史」を重ね、少しずつ重ねた失敗を踏みつけてその底から這い上がって、今多少まともな存在になっているんだ、多分。

 

僕はちゃんと、「気持ち悪いアイドルオタク」になれているんだろうか。

それを改める材料として、あのブログはもう少し残しておこう。

カフェ

渋谷のカフェを探す。

ここ最近、日課になっている。

この一週間だけで既に5軒ほど回ってみたものの、中々刺さる店がない。

お店を探すのは難しい。

 

カフェを探している内に、やたらとレビューに「接客が酷い」と書かれているお店を見つけた。

知り合いに聞いてみたところ、「うちは接客が酷いけど、それでも好きなら来な」というスタンスらしい。

強気だ。

思うに口コミか、あるいはSNSの発達によってか、長所を生かすよりも短所を隠す方向に走るお店が多いような気がする。

非常に好感が持てる。いつか行ってみたい。

 

ところで、アルバイトでも仕事でも、ほとんどの人が接客業の経験があると思う。

そして、自分が携わっている仕事の近くにいる人は、何となく気になるものだ。

 

そこで質問。

「皆さん、接客ってどこまで見ます?」

お店に行く、注文をする、料理が運ばれてくる、空になったお皿が下げられる、お会計をする。

その内、どこが一番気になるだろうか。

お店に入ったときに元気に「いらっしゃいませ」と言ってもらえるかどうか。

それとも、注文を取るときに膝をついて聞いてくれているかどうか。

運ばれた料理のお皿が、テーブルや他の食器類と当たってガチャガチャと音を立てていないかどうか。

空になったお皿を下げるタイミング、会計終わりの気の利いた一言、あげ始めるとキリがない。

 

ちなみに僕は、お店を見渡せる席に座って、ぼーっと店員さんを眺めるのが好きだ。

眺めていると、何となく誰がどう働いているのかとか、誰が誰と仲良しなのかとか、そういうことが見えて楽しい。

 

昔は事細かに目についていた。と言うか目についてしまっていた。

お会計の時に「ちょうどお預かりします。」と言われるだけでムッとしたものだ。

念のため、「ちょうどお預かりします。」は誤りである。

お預かりしても、返すものがないからだ。

昔お店でうっかりこれを口に出して、先輩に思いっ切り尻を蹴り上げられたことがある。

ムッとするのは多分、そのせいだ。誰かこいつの尻を蹴り上げろ、と思っていたのだろう。

 

何かしら目的があってカフェに行ったのに、ムッとして帰ってくるのは非常に勿体ないことだ。

つまり、ある程度鈍感な方が、人生実は幸せなんじゃないか、と思う。