ピーマンの肉詰め

突然ですが皆さんはピーマン、お好きですか。

僕は結構好きです。

味や香りももちろんのこと、食感がいいですよね。

バキッともブリッとも形容できそうな、野菜とは思えない肉厚感。いいですよね。


そんなピーマンですが、野菜食が広く根付いた今でも、何となく嫌われ者のイメージが強いです。


小学生の時に、一個上に「ピーマン」と呼ばれている男の子がいました。

何でもお遊戯会で、本人の名前にちなんで「ピーマン」と言うヒーローを演じたのが由来しているのだとか、僕らも彼のことを慕って「ピーマン」と呼んでいました。


ある日、クラス担任のおばあちゃん先生に「ピーマンなんて失礼ね。」と言われたことがありました。

なんで?と僕らがおばあちゃんを見上げると、おばあちゃんは「ピーマンって中身スカスカって意味じゃない。」と説明してくれました。

もしかしたら、おばあちゃん先生はもう大分おばあちゃんでしたから、ちっちゃくなっていて見上げてはいなかったかもしれません。

その辺は御容赦ください。


まあとにかく、その時僕はとってもいや〜な気持ちになったのを覚えています。

いいじゃんピーマン。

美味しいじゃんピーマン。

呼びやすいじゃんピーマン。

僕らは「ピーマン」の事が大好きだったのに、何となくその気持ちすら否定された気がしてとても悲しい気持ちになりました。


そんなの放ってくれればいいのに、と言う感じですよね。


ところで「ピーマン」は本当に優しいいい子で、いつもニコニコして年下の僕らの話を聞いたり、一緒に遊んだりしてくれました。

だからでしょうか、小さなひき肉のタネをそっと抱きとめるピーマンの肉詰めを見ると、僕は今でも彼のことを思い出してしまうのです。