【導入】

 

2012年11月16日、夕方。

授業の終わりと共に、電話が鳴った。

突っ伏した机から顔を上げて携帯の画面を見ると、随分と懐かしい名前が表示されていた。

「はらさんお久しぶり〜、今日夜暇?」

「暇だけど…。」

寝起きでぼーっとしたまま答える。

「ヱヴァ観に行こうよ。」

「え。」

「明日、公開日だから。夜12時新宿ね〜ばいば〜い。」

電話が切れた。

ポツポツと、LINEに「迷う。」とだけ打ちこんで電話主に送信し、帰り支度を始めた。

そうか、明日はヱヴァQの公開初日だった。すっかり忘れていた。

 

【OP】

【Aパート】

 

電話を突然してきたイノウエと言う男は、僕の高校時代の友人であり、また僕が新世紀エヴァンゲリオンというアニメ作品にハマった元凶であった。

Skypeのチャットに打ち込まれた「とりあえず序観て、その後TV版続きから観ればいいから。」と言う言葉に、「何だ26話も観るの億劫だなと思っていたけれど、案外すぐ観終わりそうだな」と簡単に騙されてしまった僕は、結局その後TV版全話、旧劇場版、新劇場版を何度もループすると言う終わらない旅をする羽目になったし、熱中しすぎて高校時代の卒論はエヴァで書いた。

確か、「渚カヲルの正体について」とかそんなテーマで書いた気がする。

はっきり言って僕はその男の事が少し苦手だったのだけれど、しかしせっかく今日の夜は用事が無いし、明日も休みのはずだ。

行ってみるのも良いだろう。

 

家に着き、夕飯を済ませ、風呂に入った。

普段なら寝間着代わりのジャージに着替えるところを、また外行きのパーカーとジーンズに着替える。

いくつになっても、夜家を出るのは何だかワクワクする。

スニーカーを履いて「いってくる」と一言声をかけて家を出た。

 

駅に着くと、イノウエから「ごめん少し遅れる」とラインが入っていた。

ふむ。

僕らは11月17日0時からバルト9で行われる先行上映ではなく、その朝行われる本公開に行こうと言う話になっていた。

夜通し並んで、朝映画を観て、帰る。

これでも十分公開初日に観たと言えるだろう、ということになったのだ。

つまり、多少の遅れは問題ない。

「おけ」と一言返すと、また返信があった。

「今日うこん茶さんも来るからよろぴこ〜〜」

いや待て誰だそいつは。

僕はお前が着く前に、得体の知れない人物と待ち合わせをしなければならないのか。

そういうお前の身勝手なマイペースさが僕は苦手なんだ、と文句をつけてやろうと思ったところで気付いた。

あの子だ。

イノウエのバンド仲間の、いつもダッフルコートを着ていて、おかっぱ頭で、中性的で割とイケメンな、確か鍵盤ハーモニカを吹いている(弾いている?)、線の細い、彼だ。

話した事はないが、顔は分かる。何とかなるだろう。

またLINEが鳴った。

「お金払うからマックで夕飯3人分買ってきて〜」

うるせえ、カス!!!

 

【暗転】

 

3人分のセットが入ったマクドナルドの重たい袋を両手に抱える僕は、映画館の階段に一人で座るダッフルコートの男を発見した。あれだ。

「こんばんは。うこん茶さん?」

「はらくんだね、イノウエがごめんね。」

ニッコリ笑う彼は、やっぱり思った通りの彼だった。

かなり可愛い顔をしている、これはモテるんだろうな。

思えばキャンパスで見かけるといつも、後ろの方の席で女の子に囲まれている。

そう、多分、勘違いでなければ同じ学部に所属しているはずだ。

 

何となくぎこちない挨拶を済ませ、エヴァの話やイノウエの話に花を咲かせる。

そうして過ごしている内に、イノウエが到着した。

「二人とも仲良くなった?」

黙れクソ

「僕ここで待ってるから、二人ともトイレとか行ってきなよ、近くのお店で借りれるから。」

たまには気の利くやつだ、お言葉に甘えて二人でトイレに行く事にした。

時刻はまだ1時くらいだし、開演までは大分時間がある。

腰を上げるとイノウエがまた一言。

「ついでに何かあったかい飲み物が欲しいな。」

本当にお前と言うやつは。

うこん茶くんと二人、近くの飲食店でトイレを借りた後にコンビニに入る。

目指すは飲料コーナー、の前にふと目についたものがあった。

「ねえねえ、」

「ああ、これはいいね、"あったかい飲み物"だもんね。」

呼び止めてそれを見たうこん茶くんは、また可愛い顔でニコニコと笑っていた。

 

「…何で?」

コンビニから戻った僕ら3人は、それぞれの手にちっちゃいカップヌードルを握っていた。

「あったかいだろ。」

「あったかいけどさあ…。」

「文句があるなら俺が食う。」

「いやいいよ、これで。」

文句を言う割に、やけにニヤニヤしてるじゃないか、お前。

さっさとカップヌードルを食べた僕らは、片付けをイノウエに押し付けて、エヴァ談義へと入る。

直前に公開された映像も含めてだ。

 

「列の前の方に、"マジ"な人がいるぞ。」

「何だと、どれどれ」

「アレには敵わないなあ笑」

などと、周りの人の様子も伺いつつ、夜を過ごす。

 

その内、イノウエがうつらうつらとしてきた。

「列、まだ動かないし少し寝る。」

本能のままか、お前は。

うこん茶くんも、彼は彼で「何か遊べるものはないかな」と自分のカバンをゴソゴソしている。

僕はときたま、イノウエに「列が動くぞ」と嘘をついて起こす遊びをしていた。

ふと、うこん茶くんが「あ」と声を出した。

「どうしたの?」

「いや…。」

彼が、カバンの中から何かを取り出した。

「潰れたみかんが、あった。」

カバンの中に入ったものの圧力にほんの少しだけ負けて、座布団のようになったみかんが、彼の手の中にあった。

彼はまた、ニコニコと笑っている。

 

【CM】

【Bパート】

 

階段で夜を明かした僕たちは、公開1時間前の映画館の座席へ3人横並びで座った。

と思ったらその瞬間、すっと意識が座席に飲まれてしまった。

ドン、とスピーカーから流れる音によって目が覚める。

1時間ってあっという間なんだな。

 

少しだけ流れるコマーシャルを終えて、映画が、始まった。

 

 

映画本編が終わった瞬間、シンジたち3人が歩いていくシーンの後、「つづく」のテロップが画面に浮かんだ瞬間、僕はそれを聞いた。

僕も含めその場にいる全員が一斉に「えぇ?」と困惑の混じったため息をついていた。

前の方の座席に座った僕の身体はほんの少し、そのため息の圧に後ろから押されたような気がした。

座席から立った僕らの考えは、珍しく一切の議論の余地なしに一致していた。

「話をしよう。」

「これは話さねば。」

「今の時間、どこならあいてる?」

我々平成生まれのインターネット世代、google先生の力を借りてすぐに議論の場を決めた。

場所は高田馬場ミスタードーナツだ。

何の因果か僕ら3人は、通っている大学が座する地に、山手線に乗って帰ってきた。

早朝にも関わらず既に結構な数の人がいる。

カフェラテを3人分と、少しだけドーナツを載せたトレイを持って、4人席につく。

 

これまで僕たちにとってのエヴァンゲリオンは、過去、既に考察しつくされたコンテンツだった。

その中で自分の思惑にそった考察を選び、また考察を重ね、そしてまた映像を見る。その繰り返しだった。

しかしどうだ、このQは、完全に新しい「エヴァ」だった。

今までの、リメイク版「序」、一般大衆向けロボットアニメ版「破」とは異なる、僕らにとって完全に未知の「エヴァ」だった。

観客の予想を大いに裏切り、また置いてきぼりにし、新たな考察の余地を広げた。

これを話さずに、どうして僕らはエヴァを見てきたんだ。

 

と思った矢先、うこん茶くんが落ちた。

寝てしまった。

楽しい議論はこれからのはずなのに…。

いやしかし僕らの熱はもう止まらなかった。

イノウエと二人、映画館で購入したパンフレットを開きながら、あーでもないこーでもないと話し込む。

1時間ほど話し込んだ僕らの会合は、突如起動したうこん茶くんの「今日は学科説明会だった!」という一言によって幕を閉じた。

 

何となくまた3人で集まるような気はしていたが、その後3人が揃うことはなかった。

僕とうこん茶くんはこれがきっかけで一緒に授業を取るようになったし、また僕が、彼が店長を勤めるカフェに入店したことで2年ほど濃密な付き合いをするようになったのだが、イノウエはその後フランスに留学してキャベツ農家になり、そして他の何だか僕にとってはあまり名前を聞いた事の無い国を転々とし始めたため、物理的に会う事が出来なくなってしまったのだ。

 

 

このヱヴァンゲリヲン新劇場版Qと言う作品には、驚くほど批判的なコメントが多い。

しかし、確かに僕にとってはこれこそが、現代の「エヴァ」なのだ。

僕はこの映画が大好きだし、何よりシンエヴァの公開が待ち遠しい。

公開日が決まったら、誰か一緒に観に行こう。

 

【つづく】

「掘り当ててしまった。」

「何を?」

「昔のブログ」

「えっ」

 

 

10年ほど前に書いていたブログを、先日偶然、掘り当ててしまった。

何を思ったのか突然、当時利用していたウェブサイトの名前とIDで検索をかけたところ、見事にヒットしてしまったのだ。

読み返す。

 

………………。

非常におぞましい内容だった。

書いていた当時の僕は中学生〜高校生くらいの年齢で、非常に多感な時期だ。

そのブログは主に、

1.遊戯王

2.おすすめの楽曲

3.学力イキり

によって構成されていた。

順に説明していく(既に若干身体が痒くなってきた)。

 

1.遊戯王

僕は昔、遊戯王カードがとても好きだった。

どれくらい好きかと言えば、結構本気でデッキを組んで近くのカードショップで週末開催される大会に出場し、優勝したりしていた。

すごい。

いやすごくない。

何も誇れることではない。あくまで趣味だ。

それが転じて、ブログを書くネタに困った僕は(あるいは僕はこんなジャンルのデッキも組んじゃうんですよ〜という自己顕示欲によって)、組んだデッキの内容や解説をブログに載せたりしていた。

この記事によって、「僕のデッキを診断してください!」などというコメントが少しずつ付き始め、更にはショップで「大会上位の人を呼んでサークルを作っているんですが」などとスカウトをされ、僕の承認欲求は大いに満たされた。

いや人の輪広がっとるやないかい。

こうして文章で見ると鳥肌もさほど立たないのだが、その実「w」(所謂全角単芝)であったり、環境批判、もしくは大会に出た際のレポートでは「やっちまったw」などとイキり全開の文章を披露していて、非常に痛々しい。

 

2.おすすめの楽曲

中学生の頃、僕の聴く音楽は、ほとんどがサザンオールスターズKinKi Kids平井堅によって構成されていた。

これが高校生になると、アニソン、ボカロと手を伸ばし、最終的にバンド系の音楽を聴くようになる。

中学生の頃は趣味が合う相手が本当にいなかった。

サザンオールスターズは完全におっさんバンドだし、KinKi Kidsはどちらかと言えばお母さん世代、僕たちの世代でジャニーズと言えば多分嵐だった。

平井堅、論外である(悲しい)。

話せる相手は本当に限られるのだが、どうしても身近に趣味を共有出来る相手が欲しい、更に言えば自分の聴いている音楽の良さを皆に知ってほしいと思った僕は、何故か、「好きな楽曲のタイトルと、YouTube動画の埋め込み」のみによって構成されたブログを更新し始める。

Q.何故だ。

A.これがシュッとしてかっこいいと思っていたからだ。

そう、これをすれば皆聴いてくれるもんだと思っていた。

そんなわけ、あるか。

後述の学力イキり含め、イキり文章連発のブログ記事群の中に唐突に現れる、タイトルと動画のみのブログ。

最早怖い。

何を考えていたんだこいつは。

 

3.学力イキり

これが酷い。

本当に酷い。

特に中学3年生。

もう、イキりのテンプレートをことごとくこなしている。

受験期間近の「そろそろ本気出しちまおっかなw」に始まり、

受験終了後の「結果は出してきましたよwまた周りとの差が開いちまったかなw」で終わるこの一連の流れは、芸術とも呼べる出来映えである。

周りの人間を完全に馬鹿にした内容、大したことは無いのに何故か天狗が止まらない。

 

ちなみにこの男、第一志望の高校に落ちているのだ。

何でそこまでイキれるんだ。

しかも一回一回の内容が異様に短い。

雰囲気で言えば、

 

タイトル「そろそろ」

本文「本気出しちまおっかなw」

 

などとなっている。

もう本当に、この記事を発見した際は本気で死のうか悩んだ。

 

 

ここで気付く。

ブログを消せばいいのだ。

消してしまおう、こんなもの。

幸いにもパスワードは通った。

後は何か、多分どこかのメニューを開けば消すのは簡単なはずだ。

 

しかし消せなかった。

黒歴史」と言うくらいだ。

このまま取っておいて、有事の際は戒めのために読み返せるように、残しておこう。

 

 

と言うのも

僕は所謂「気持ち悪いアイドルオタク友達」が非常に好きだ。

前日に「推しメンのライブを見に名古屋おいでよ」と誘ったら当日新幹線に飛び乗るオタクだとか、推しメンへの愛故に飲み会中に泣き出すオタクだとか、もしくはマスターベーションに興じている最中に推しメンの顔が浮かんでしまい、結果的にEDになってしまうオタクだとか。

どれも、推しメンへの愛が大きすぎるが故に、結果的に気持ち悪くなってしまっただけなのだ。

更に言えばどのオタクも、その過去の話は総じて気持ち悪い。

今の動向以上に、恥ずかしいほどに気持ちが悪いのだ。

過去のブログではイキるし、友達がいないことが今となっては誇りであるし、それが何やかんやあって今アイドルオタクになっている。

 

何かコンテンツに対しての大きな愛を、発散する手法を誤ってしまうが故に、多大な「気持ちの悪い黒歴史」を重ね、少しずつ重ねた失敗を踏みつけてその底から這い上がって、今多少まともな存在になっているんだ、多分。

 

僕はちゃんと、「気持ち悪いアイドルオタク」になれているんだろうか。

それを改める材料として、あのブログはもう少し残しておこう。

カフェ

渋谷のカフェを探す。

ここ最近、日課になっている。

この一週間だけで既に5軒ほど回ってみたものの、中々刺さる店がない。

お店を探すのは難しい。

 

カフェを探している内に、やたらとレビューに「接客が酷い」と書かれているお店を見つけた。

知り合いに聞いてみたところ、「うちは接客が酷いけど、それでも好きなら来な」というスタンスらしい。

強気だ。

思うに口コミか、あるいはSNSの発達によってか、長所を生かすよりも短所を隠す方向に走るお店が多いような気がする。

非常に好感が持てる。いつか行ってみたい。

 

ところで、アルバイトでも仕事でも、ほとんどの人が接客業の経験があると思う。

そして、自分が携わっている仕事の近くにいる人は、何となく気になるものだ。

 

そこで質問。

「皆さん、接客ってどこまで見ます?」

お店に行く、注文をする、料理が運ばれてくる、空になったお皿が下げられる、お会計をする。

その内、どこが一番気になるだろうか。

お店に入ったときに元気に「いらっしゃいませ」と言ってもらえるかどうか。

それとも、注文を取るときに膝をついて聞いてくれているかどうか。

運ばれた料理のお皿が、テーブルや他の食器類と当たってガチャガチャと音を立てていないかどうか。

空になったお皿を下げるタイミング、会計終わりの気の利いた一言、あげ始めるとキリがない。

 

ちなみに僕は、お店を見渡せる席に座って、ぼーっと店員さんを眺めるのが好きだ。

眺めていると、何となく誰がどう働いているのかとか、誰が誰と仲良しなのかとか、そういうことが見えて楽しい。

 

昔は事細かに目についていた。と言うか目についてしまっていた。

お会計の時に「ちょうどお預かりします。」と言われるだけでムッとしたものだ。

念のため、「ちょうどお預かりします。」は誤りである。

お預かりしても、返すものがないからだ。

昔お店でうっかりこれを口に出して、先輩に思いっ切り尻を蹴り上げられたことがある。

ムッとするのは多分、そのせいだ。誰かこいつの尻を蹴り上げろ、と思っていたのだろう。

 

何かしら目的があってカフェに行ったのに、ムッとして帰ってくるのは非常に勿体ないことだ。

つまり、ある程度鈍感な方が、人生実は幸せなんじゃないか、と思う。

喫茶店

茶店に行きたいな、と思う。

 

ここ最近、パソコンを手に入れてからと言うもの渋谷のカフェに行く機会が増えた。

探すときの条件は「WiFiはあるか、電源はあるか、タバコは吸えるか」の3点に注視しつつ、雰囲気の良さそうなお店を探す。

ところで所謂ノマドカフェにおける喫煙に関して、思うところが一つある。

それは、「着席しながら喫煙する必要はあるのか」という点だ。

作業をしながらタバコを吸う、という動作を取ることは経験上あまり無いような気がする。

タバコを吸うのは大抵、作業に一区切りついた時、もしくはどうにも進められなくなって頭を悩ませた時くらいだ。

そもそも、「タバコをくわえながらパソコンを打つ」という動作は、中々難易度が高いものなのだ。

煙が目に入るし、くわえたタバコの先っちょに蓄えられた灰が、キーボードに落ちてしまわないか気が気でなくなる。

作業効率としても、タバコを吸いながら打ち込む内容はどうにも詰めが甘いことが多く、打ち込んで即座に消してしまうことが多いため、あまりよろしくない。

つまり、カフェと喫煙の関係性において、喫煙場所は別に座席でなくとも良いのだ。

喫煙所さえ設けられていれば、作業の合間、気分転換に席を立って一服することが出来る。

 

脱線してしまった。

僕が今行きたいなと思う喫茶店は、上記のような作業場としてのノマド系カフェではなく、古きよき喫茶店だ。

レコードプレイヤーが据えられたカウンターに、コーヒーは一杯一杯がハンドドリップによって抽出され、メニューの中にナポリタンがいる。

そんな喫茶店で、コーヒーを飲みつつ一服したいなと思う。

本を読むのも良いだろう。

 

ここで本題なのだけれど、「喫茶店」と「カフェ」の違いについて、皆さんご存知だろうか。

飲食店を開業するにあたって「営業許可」というものを取らなければならないのだが、これが実は何種類かある。

深夜の営業許可を除いて、大きく以下の2種類だ。

「喫茶店営業許可」と「飲食店営業許可」の2種類。

どう違うかといえば、おおまかに「喫茶店営業許可」では、お酒や手のこんだ料理を販売することが出来ない。

その代わり、設備面で飲食店営業許可よりも簡単に取れる、というものだ。

では、我々は喫茶店ナポリタンを食することが出来ないではないか、と思うがそうでもない。

つまり、屋号(店名)として「喫茶店」を名乗っても、営業許可は「飲食店」の区分で取っておけば何ら問題ないわけだ。

世の中分かりにくいものである。

 

ところで今回のブログに相も変わらずオチなどなく、かつ無駄に教科書めいた内容になってしまったのは、貴重な昼休みにカフェでタバコをくわえながらパソコンに向かっているせいだろうか。

ああ、今すぐにでもこれを全て消してしまいたい。

僕はさほど会話が上手でない。

大人数で会話をしていると、「そういえば」という言葉を皮切りにそれまで進行していた話題からかけ離れた内容で勝負を仕掛けてしまうことが多々ある。

少人数でも、相手の話にただ頷くだけになってしまうことが多い。

 

これが、最近になってより一層ヘタクソになってしまったように感じる。

会話中に生まれる、ほんの少しの空白に妙に不安になり、それを埋めようと意味不明な言葉を連打してしまうことが最近、非常に多い。

お酒を飲むと更に支離滅裂になるため、翌日は大抵、自身の悪行に頭を抱える。

 

 

思うに、「会話をする」というのは、「プレゼンテーションをする」ことであったり、「ディベートをする」というのとはまた少し訳が違うと思うのだ。

もちろん、特定の話題について時にそういった形式になることもある、し、それを出来る相手というのは、その人にとって結構貴重な存在だろうとも思う。

中々どうして、同じ趣味であっても自分と同じ温度感で物事を考えている人というのは見つけづらいからだ。

 

しかし、日常的にこれを行ってばかりでは疲弊してしまう。

もっと、考えではなく心を触れ合わせることに、会話の醍醐味はあるのではなかろうか。

 

 

ところで、昔はもう少し歩いているときの視野が広かったような気がする。

最近どうも「歩いている記憶」というものがあまりない。

「こんなところに店が出来たのか〜」だったり、「あの看板、あんなこと書いてるんだ」みたいな発見が極端に少なくなったような気がする。

歩いているときに限らず、日常生活を送る中で、自分の生活圏が定まっていき、日々接する人々がある程度決まってくると新しい発見もさしてない。

 

 

僕は思う。

ユニクロのマネキンってさ、全部ちょっとずつ前に傾いているんだよ。」みたいな、日常のささやかな発見を、会話の中で口に出したい。

冷静に考えればあれはディスプレイの一環であるため、そりゃ下から見上げる人がきれいに衣服を眺めるためには前傾であって然りなのだけれど、そういう小さい細かいことに、何気なく気付ける人間でいたい。

と言うか、「みんな知ってるものだけど、その事実は知らなかったし、何それちょっと興味そそるじゃん」みたいな会話のテーマを投げかけられる人が、会話が上手い人なんだろうなと思う。

未知のテーマに対して、参加者がほぼ全員、それに対しての知識量や熱量がフラットな状態で、よーいドンと会話をスタート出来る。

 

そういうスターターみたいな人間に、僕はなりたいのだ。

タイミング

物事には、タイミングってものがあって、これが結構重要だ。

例えば初めましての挨拶は、相手と被ることのないよう細心の注意を払わなければならないし、好きな子をモノにしたいなら、告白は信号待ちをしている間に済ませない方がいい。せめて信号が青に変わった瞬間にすべきだ。

何をするにも、タイミングと言うのは非常に重要だ。

 

 

インフルエンザになってしまった。

この前の日曜日のことだった。

珍しく体温が38度をマークしたため、僕は家で一人、床に伏していた。

疲れによって微熱が出ることは何度かあったが、8度を超えるのは久しぶりだ、辛い。

それは翌日も続き、と言うか翌日には39度になってしまった。

これはおかしい。

職場に休みの連絡を入れ、僕は病院へと向かった。

 

うちは東京の中でもまあまあ田舎にあるので、平日だろうが何だろうが病院がアホみたいに混む。

要するに暇なおじいちゃんおばあちゃん達の憩いの場になってしまっているのだ。

その日も予約の枠は既に埋まっていて、病院の待合室は元気そうな老人達で賑わっていた。

受付のお姉さんに「一時間以上お待ちいただく場合もあるんですが…大丈夫ですか?」と心配そうに聞かれたが、ここで待たずにどうしろと言うのだ。

僕は待合室の壁にもたれてうつらうつらとしながら順番を待つことにした。

番号は636

「6っていうのはね、悪魔の数字なんですよ…。」と頭の中で響く。

インターネットのやりすぎだ。

一時間ほど待った。

ようやく呼ばれた自分の番号に喜びを覚えつつ、体力は限界だった。

足がもつれながら、何とか診察室にたどり着く。

簡単な触診ののち、インフルエンザの検査が行われた。

何だあれは。久々に受けたけど、あんなに痛いなんて聞いてないぞ。

「…ガッ」とか言う謎の奇声を発しながら、目から大粒の涙をボロボロ流してしまった。

検査結果を待ちながら、「これで違ったら恨むぞ…。」などと考えていた。

「インフルエンザA型です」と宣告された時は、何だか逆にホッとした。

それから処方箋の待ち時間が30分。

計3時間を費やして僕は病院周回を終えた。

 

これからパソコンも届いて、好きなアイドルのスナックイベントに行って、名古屋に行こうという時に、本当に酷い目にあった。

せめてもう一週間遅ければ…。

今は熱も微熱程度におさまってはいるが、完治するまでもう少しかかりそうだ。

 

 

ところで、またオチが思いつかなくなってしまった。

どうやらまだ、このブログを書くタイミングではなかったらしい。

2019

あけましておめでとうございます、はらです。

 

ところで5月に恩師の死と共に始まり、猫の死によって2018年に幕を下ろしたこちらのブログですが、もう少しだけ続きます。

2018年は色々あったはずなのに、何だかその年に起きた話をあまりしなかったような気がします。

と言うのも、振り返ってみれば自分にとって、生活や思想を脅かすような出来事があまり無かったからなのでは、と今考えてみると思うのです。

更に言ってみれば、大きい出来事は確かにあっても、自分はそれを語るに値しないと思い、言葉にすることを避けることすらありました。

 

え、ちょっと待って何で今回こんな敬語なんだろう。

誰に向けて書いてるの。

え、自分のためにしか書いてないけど。

 

と、言うわけでですね。

2019年はもう少し目標を定めて生きていきたいと思います。

ここに書ける範囲でね。

例えば、「月ごとにテーマを設定する。」とか。

 

取り急ぎ今月のテーマは、「許されざるチェーン店には行かない。」です。

2018年最大の失敗は、その体重にあります。

ここに書けません。

聞かれたら答えます。

でも書けません。

取り敢えず、人生で今二番目に大きい数字をマークしてしまっていることは確かです。

過去このような現象が発生した際に復帰した要因は以下2点です。

1.胃腸炎からのインフルエンザ併発による体重減少 -8kg

2.精神的な疲労による過度な食欲不振 -7kg

どちらも二度と体験したくありません。

健康的に痩せるべく、自分の認めたくない(認めたくないって何だ)チェーン店には行かないことにしました。

なんとなーく小腹が空いて。なんとなーく濃い味のものが食べたくなって。なんとなーく入ってドカ食いして後悔する。

みたいな流れ、もう飽きました。

行きません。

お酒を飲む場所は別です。お酒を飲むとあまりご飯を食べなくなるので。

しかし、巷にはびこる大手ハンバーガーチェーン、さして違いのないラーメン屋、コーヒーの不味いカフェ、行きません。

職場近くのカフェチェーンは……おそらく行くことになるでしょう。近くに他の店がないので。

それなりに緩く取り組んでいこうと思います。

 

今年はもっと映画も観たいし本も読みたいしあとお洋服も久しぶりにちゃんと買いに行きたいな。

2月以降のテーマは都度都度発表します。

 

 

と、言うわけで新年一発目は本当にただの日記のようなものになってしまいましたがいかがでしたか?

僕は珍しく、あまり後悔はしていないです。今年もよろしくお願いします。