正解

こんにちは、はらです。

突然ですが皆さんには心に残っている言葉って、ありますか?

僕はあります。

 

以前勤めていたカフェで、同い年の女の子が退職する時に僕に宛てた一言です。

その女の子はとてもとても優秀で、仕事もバリバリこなすし、人望も厚いし、お酒も当時のカフェのメンバーの中で考えると飲めた方だし、ちょっぴりタバコも吸うし、端的に言うとカッコいい子でした。

その子が辞める日に、フォトブックを人数分自作し、メンバーそれぞれに向けて最後のページに一言ずつ綴っていたのですが、その一言が今でも僕の心にずっと残っています。

 

数多いるスタッフへ、想い出や励ましの言葉が綴られる中、僕宛にはたった一言こんな言葉が書き殴られていました。

「何も出来ない自分を恥じろ。」

 

正直、かなりびっくりしました。

温かいメッセージが書かれたそのフォトブックを、メンバー皆何度も読み返し、大切そうに持ち帰る中、僕一人、一目みた瞬間に怖くて冊子を閉じたことを今でも覚えています。

 

当時の僕はどうしようもない甘ったれで、理想を語るばかりで自分は怪我をすることを恐れて具体的な事は何一つしていませんでした。

彼女はとてもとても優秀でしたから、そんな僕の姿を見て思うところがきっと、たくさんあったのでしょう。

それから、この言葉はいつも僕の側にあったような気がします。

怖くて立ち止まる事はあっても、とにかく何もしないだけの人には、何も出来ないし、誰かに何かを言う権利も無いのだと、その事をずっと念頭に置いています。

 

 

自己啓発本や、数々の著名人達の成功体験が文書化され、またインターネットを通じて見る事が出来る昨今、人々の行動原理が揺らいでいるように感じます。

僕は自分が話すことが幸か不幸か大好きなので、すぐあーだこーだ、所構わず喋くりまわってしまいます。

しかし僕の体験や感想、また行動は、あくまでこの、根暗で、いらんことばっかりいつもグルグルと考える面倒くさい僕だからこそ場面場面で叩き出しているだけのものであって、それが万人に通ずるかと言うと、決してそんなことはない、と思います。

 

例えば僕は「考えろ」と言う言葉がとても好きです。

これは僕が好きな伊坂幸太郎と言う作家が「魔王」と言う作品で出したセリフのひとつなのですが(正確には、僕がこの言葉に触れたのは「グラスホッパー」という作品を合わせてコミカライズした漫画の中でした)、果たして人々全員が、その行動を決める時に考えるべきなのか、とも思います。

直感が働く人にとっては、それを意識下でも無意識下でも考えずに、その感性の赴くがままに行動をした方が懸命でしょうし、逆に考える事によって発生する不利益は見逃せません。

僕はそれまで触れ合ってきた感性豊かな若者が(僕もまだまだ若輩の域を出ませんが)、ある日を境に唐突に自らの行動原理について語り始めると、「僕はまたこの未来ある若者に、悪影響を及ぼしてしまったのではないか」と苦痛で胸が張り裂けそうになります。

 

先行きの分からぬまま何かを起こす事は、とても怖い事です。

少しでも指針となるようなものが欲しくて、他人の体験談ばかりを眺めてしまう気持ちも分かります。

しかし我々20代にとって人生はまだまだ、飽きる程に長いので、もう少しゆったりと生きていきたいものだなと思う日々です。